海士町らしい風景で「循環」を表現
事前に地図では見ていましたが、海士町を実際に訪れて、コンパクトな島だなと感じると同時に、島の人々の営みを見ていると、“ないものはない”を体現するかのような、島のなかで完結した生活をしているということを島のいたるところで感じました。
この絵についても、島における「循環」を表現したいということでしたので、現地で感じたコンパクトにつながり、完結している様子を描きたいと思いました。その結果、小さなひとつの絵のなかで、馬や牛がいる風景や田園風景があったり、すぐ近くに住宅があったり、ホテルがあるというようなイラストになりました。
島を巡っていると、迫り出した赤茶色の岩肌のワイルドな景色があったり、一方では穏やかな田園風景があったりして、そういう全然違う景色が混在している様子も面白く、海士町らしい風景だなと感じました。
また、現地で感じたのが、雲の流れのはやさです。遠くにあるはずの雲がすぐに近くまで流れてきて雨が降ったり、雪が降ったりする。普通なら矢印などの記号を使って循環を表したくなりますが、こうした雲の流れと雨、川、海という自然物を使って、循環が感じられる絵になったと思います。
誰もが図鑑で見たことのあるタッチに
絵のなかには、現地で見かけたいろんな景色を取り入れています。果樹園や灯台、風力発電のプロペラなど、島を回っていて突然現れたもの、出会ったものを具体的な場所というよりはモチーフ的に絵のなかに散りばめています。
断面が見えるようなイラストの描き方は、小学生の頃に教科書で見かけた図鑑のイラストのようなものをイメージしています。実際に訪れた海士町中央図書館の児童書コーナーにあった図鑑からもヒントを得ていて、結果として誰もが見たことのあるようなタッチに仕上がったのではないかなと思います。
