1.トレーニングの背景
現在、日本の観光産業において「戦略的に地域の価値を高められる人材」は圧倒的に不足しています 。海士町においても、豊かな観光資源をただ消費するのではなく、事業として成立させ、地域経済の活性化とゲストの幸福を両立させる「戦略的人材」の育成が急務となっています 。
海士町でのプログラムでは、以下の3つの階層に分けた最適化された学びを提供しています。
【経営、マネジメント向け:応用コース】持続可能なビジョンを示し、地域全体を牽引する経営人材を育成。
【メンバー向け:基礎コース】現場での実践を通じ、自ら課題を発見・解決できる企画力を持った人材を育成 。
2.【観光マーケティング】世界最高峰の知見を移植する100時間
トレーニングの核となるのは、マーケティングの精鋭集団「株式会社刀」による「マーケティング実戦ブートキャンプ」です 。
海士町の経営、マネジメント層が共に机を並べ、全6回・合計約100時間にわたる激しいインプットとアウトプットを繰り返しました 。その内容は、単なる理論の習得に留まりません。

<刀メソッドによる6つのフェーズ>
プロジェクトキックオフ:戦略思考を学び、組織内の共通言語を設定。
現状分析(ATL):5C分析や市場規模推定、徹底したフィールドワークによる「勝ち筋(ハイグラウンド)」の特定。
消費者選定(WHO):脳科学に基づいた深い消費者理解とインサイトの発掘。
提供価値の設計(WHAT):好意度を高めるブランド設計とコンセプト立案。
体験価値・認知設計(HOW):地域の魅力を具体的な体験に変え、PRや店頭戦略まで一貫させる。
総まとめ:人を惹きつけるビジョンの確立とファイナルプレゼンテーション。
「海士町の魅力をいかにして売上に変え、地域を支える柱にするか」という問いに対し、事業者全体が共通のフレームワークでディスカッションできる土壌が着実に形成されています 。
3.【観光学】世界の先端事例から「観光の力」を学ぶ
マーケティングの「型」を学ぶ一方で、重要になるのが「世界の潮流(トレンド)」を知ることです。本プログラムでは、カナダ観光局日本地区代表であり、『観光の力~世界から愛される国カナダ流のおもてなし』著者でもある半藤将代氏を招聘しました 。

全3回の講義では、以下のような具体的な事例が共有されました 。
・再生型観光(リジェネラティブ・トラベル):観光を通じて地域をより良く、より豊かにしていくカナダの先端事例。
・観光戦略の実例:ターゲットセグメント、ブランドの作り方
・おもてなしの本質:ゲストに愛されるための戦略的なホスピタリティ設計。
世界の成功事例を自分たちの島に引き寄せ、海士町ならではの観光戦略を練り上げる貴重な機会となりました 。
4.【基礎・マインド】実行力を支える土台基礎スキル
どんなに優れた戦略も、実行する力がなければ絵に描いた餅に終わります。基礎コースを中心に、プロジェクトを形にするための「基礎体力」の強化を(株)デルタスタジオおよび集治隆太郎氏が担当しています 。

・デザインシンキング・課題解決(デルタスタジオ) :世界的ベストセラー『世界一やさしい問題解決の授業』のメソッドを用い、正解のない時代に必須の「問いを立て、アイデアを広げる力」を養いました 。
・プロジェクトマネジメント(集治隆太郎氏) :事業計画の立て方(PL/BSの理解)から、リソースマネジメント、進行管理まで、プロジェクトを「完遂させる力」を徹底的に学びます 。
さらに、株式会社風と土とによる月1回の「オーナーシップ・地域探求ワークショップ」では、地域・ゲスト・チーム・自分という4つの視点を統合し、受講生一人ひとりが「やりたい」と心から思えるプロジェクトを言語化しています 。
結びに:今後に向けて
繁忙期前の6月でトレーニングは一旦お休みとなり、10月からトレーニングが再開します。このトレーニングは今後継続して行っていきます。 受講生たちは、自らの想い(自分性)、地域のニーズ(地域性)、そして継続するための利益(事業性)の3つが重なり合う地点を目指し、日々研鑽を積んでいます 。
海士町で生まれる新しい観光の形が、日本の地域振興の新たな希望となる地域となれるように人材を育てていきます。